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■賃金控除の協定書

【全額払いの原則】

労働基準法では給与を全額支払わなくてはならないと定めています。ただし例外が2つあります。
 
(1)法令に別段の定めがあり場合
(2)書面による協定がある場合
 
 2つの例外のいずれかに該当する場合は、給与から控除ができると定められています。
 

【法令に別段の定めがあるものだけの場合は協定は不要】

法令に別段の定めがある場合とは、所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料を指します。
 
 給与から控除をしているものがこれらのみの場合は、賃金控除の協定書は必要ありません。
 

【労働基準監督署への提出は必要なし】

所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料以外の項目を給与から控除したい場合は、賃金控除の協定書が必要となります。
 
 賃金控除の協定書は、36協定のように労働基準監督署への提出は必要ありません。法令に別段の定めがあるもの以外で給与から控除をすることを開始する時に締結をしておけばそれが有効なものとして適用されます。
 
 ただし、控除する項目が追加となったような場合には、再度、協定書を締結する必要があります。
 

【締結したものは周知することを忘れない】

締結をして、労働基準監督署への提出も必要がないから会社の書庫にて大切に保管をしているということではいけません。

就業規則と同様に誰もがみることができる場所に備え付けをするなど賃金控除の協定が適正に締結・運用されていることを従業員に対して周知することを忘れないようにしましょう。

原本を誰もが見える場所に備えつけると、協定書の破損や汚損、紛失をしてしまう可能性があります。原本は、従業員から求めがあった時に提示するものとして書庫にて保管し、その代わりにコピーを周知用の書面として保管をしておく方法もよいでしょう。
 

【技能実習生など外国籍の従業員を雇用している会社は配慮を】

中小企業においても技能実習生の受け入れが進んだこともあり、外国籍の従業員がいることは珍しいことではなくなりました。
 
 技能実習生を受け入れている会社では、所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料の他に光熱費や家賃などを給与から控除することもあるのではないかと思います。
 
 このような場合においても、賃金控除の協定書が必要となりますし、関与機関等の監査においても協定書の提示が求められるでしょう。
 外国籍の従業員によっては、明確に協定に記載がされている日本語の理解ができない方もいます。従業員の母国語で説明をするなどの配慮をされると非常に良いと思います。
 

【従業員代表の選任は適切に】

協定を締結する事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との協定になります。
 
 この従業員代表については、適切な方法で適切な従業員を選任するようにしましょう。せっかく締結をしていても従業員代表の選任が適切にされていないことで効果がないようではもったいないですね。

お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月24日掲載-11)