■「辞めます」にどう寄り添うか
NHKの有働由美子アナウンサーが
電撃退職をして、自身がやりたい道を
選択したというニュースがありました。
NHKと言えばこの人というアナウンサー
の一人であり、昨年の好きな女性アナウンサー
ランキングでも2位になるなどまだまだ活躍
されると思っていたので驚きました。
時として人は、やりたい方向性が固まっていると
どんな恵まれた環境であってもそれをなげうって
退職を決断するものなのかもしれません。
従業員が退職していくということも悪いこととは
限りません。人が循環することで会社が強くなる
こともあります。
一方で人手不足で悩む中小企業にとっては会社を
ゆるがす問題にもなりかねないので、退職を決断
した従業員にどう寄り添うかはどこの会社においても
課題です。
「家族手当は出ないのですか?」「じゃあ辞めます」
ある会社で結婚をしたことを社長に報告するとともに
家族手当を支給してほしいという要望が従業員から
出たことがありました。
出ないなら退職するということを付け加えての要望です。
労働基準法には「家族手当を支給しなければならない」
とも「家族手当を支給してはならない」とも書いて
ないので会社の自由ということになります。
支給するもしないも自由、支給する場合の金額も自由
支給対象とする家族も自由、要件も自由です。
だけど自由と言われる方が困るのですね。
その従業員さんに退職されたら困る社長は、家族手当を
支給するということでその場を丸く収めました。
給与は原則として会社から一方的に下げることはできない
前述のようにこれまでなかった手当を支給するなど
給与を上げることは会社が一方的に行うことができます。
反対に給与を会社が理由なく一方的に下げることはできません
従業員との合意が必要
となります。
従業員が「はいそうですか」と給与が下がることに
合意するかと言えば合意をしないですよね。
合意をしなければ、会社が下げることができない
ことを知っていたらなおさらですね。
よって給与を上げるときはあらゆる視点で
チェックを入れなくてはいけません
さきほどの家族手当を支給した会社では次の
事件が起こります。
家族がいる従業員は、家族手当が支給されて給与が
上がったのに、自分は家族がいないから上がっていない
と不満が出ました。
自分の方が成績を上げているのに、成績が低い従業員の方が
給与が高いのはおかしいのではないかと言うのです。
挙げ句の果てに、成績が良い従業員は、一連の件が
原因で退職をしてしまうという苦い結果を招いてしましました。
どういう従業員を応援する会社かを考えてみる
何でもかんでも給与を上げるということは困難です。
ひょっとしたら次は、家を買った従業員から
「住宅手当は出ないのですか?」「じゃあ辞めます」
と言われるかもしれません。
家族を持つ従業員を応援したいという会社は家族手当を
充実させると家族を持つ従業員の定着は良くなります。
自ずと入社する人材も家族を持つ人が増えるかもしれません。
勤務成績を重視するのであれば、勤務成績が高い人が
給与額が高いという環境を構築するべきです。そうすると
成績が上がっていないから給与が低いのは仕方がないから
もっと頑張ろうと従業員の納得を得やすくなります。
従業員に支払う給与で矛盾を作らないということは
かなり難しいことですが、確固たる信念に沿った
給与制度にしていくとトラブルは減少します。
「辞めます」に対して、退職にエールを送るも良し
大切な人材ということを伝えて引き留めるも良しですが、
給与を変更する時にはよく検討をしましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年4月11日掲載-422)
※ 写真はイメージです