■休日数は過重労働の労災認定に影響を与えるか
働き方改革が強く叫ばれる一方で加重労働による労災の認定に関する数字は増加の一途です。過労死に関する報道も残念ながら珍しいものとは思わなくなってしまうほど定期的に目にするようになってしまいました。
本日の労務管理ポケットメモは、山口労働基準監督署が異例ではあるものの認定した労働災害の事例についてです。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:毎日新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170505-00000047-mai-soci
【国の過労死認定基準は絶対的なものではない】
過労死の認定基準が公表をされていますが、今回の山口労働基準監督署にて認定された事例は、認定基準を下回るものでした。
異例とはいえ、認定の実績がある以上は、国の過労死認定基準は絶対的ではないという認識はしておかなくてはいけません。
つまり、国の過労死認定基準を下回っているから会社の責任はない(もしくは重くない)ということではないということです。
これからの働き方改革の時代を迎えるにあたり、加重労働に対する対策はより厳格に実施をしていく必要があるといえるでしょう。目指すべき目標が国の基準を下回ることではあまり意味がありません。
【休日数が少ないという事実は労災認定の要素となる可能性がある】
今回の事例は、休日が非常に少なかったことが加味されているようです。過労の基準を超えるとなると相当の時間数が必要なため、自ずと休日数は少なくなるはずです。
ところがその少ないという状況が圧倒的に少なかったということですね。(報道においては、亡くなる前の半年で4日間の休日しかなかった)
1日あたりの残業は他の事例と比較して多くなかったとしても、ひたすら労働をする日が続くということは不適切ということになります。
【本人の希望で働いていたは通用しない】
今回の事例の使用者は、「本人が働きたいと希望していた」とコメントをしているので生活のために望んで加重労働をしていたのでしょう。
従業員が望むものに横やりを入れることはやりにくいかもしれません。横やりを入れれば「会社が仕事をさせてくれないから生活が苦しい」という違った不満が出ることも考えられます。しかし、今回の事例からもわかるように本人の希望だったということは労災の認定にあたって関係ないということがはっきりしています。
従業員自身が望む生活を送ることができるようになることは会社にとっても望むことでしょうが、それが加重労働により実現されるということはお互いのためにも避けるべきでしょう。
残業や休日出勤についてルールを決めることは効果的です。労働災害を起こさないためにもぜひ検討をしていきましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年5月6日掲載-83)