■転勤の強要はパワハラとなり得るか
人事異動における裁量は会社に広く認められていますが、すべてのケースが問題がないとされている訳ではなく、その是非が法廷にて争われることがあります。今回は、転勤の強要がパワハラと認めた事案が報道されました。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170517-00000071-asahi-soci
【転勤の強要はパワハラとなり得る】
今回の事案では「転勤願を出せ」という発言での強要です。自身の希望で転勤をしたことにしようと考えたのかもしれません。
今回の事案では、従業員4人へのパワハラを認めて、会社と代表取締役に対して長野地方裁判所松本支部は、357万円余の支払いを命じました。
【年齢のみをもって転勤を判断することは避けた方が良い】
今回の事案で裁判長は「年齢のみで従業員の能力を低くみる発言をした」ということを挙げています。
・50代はもう性格も考え方も変わらない
・おばさん
・辞めてもいいぞ
など文脈にもよるのですべてとはいえませんが、不適切を捉えられやすい発言を繰り返していることがわかります。
すでにハローワークでの求人などでもルール化されていますが、年齢だけで能力について結論を出してはいけないと捉えて置くことが良いでしょう。
【目的が不当な賞与減額や懲戒処分は不可】
1名の従業員に対して行った賞与の減額や懲戒処分が理由のないものと判断され、差額の支払いが命じられました。
退職させる目的=不当(理由なし)と判断しています。
【相談窓口の設置など事前防止策を】
今回は、代表取締役が当事者なので他に問題を指摘できる方がいなかったかもしれませんが、相談窓口を設置することにより一定の事前防止が可能となります。
報道をされることで会社が受ける悪影響は計り知れません。ますます「パワハラではないか?」と従業員から指摘されることが増えていく時代になっていくことが予測されます。
相互で行動のチェックができる環境を構築して、自信をもってパワハラではないと言える環境にしていくことが重要です。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年5月20日掲載-97)