■ハローワークや労働基準監督署は固定残業の支給を違法と考えているか~固定残業を適切に運用するために~
働き方改革や労働基準法の遵守に対する行政の目がより厳しくなることが予測される中で、固定残業を導入している会社が固定残業を廃止して、残業をした時間数に対して残業代を支給するという理想的な支払いに変更をしていくという傾向が出てくるのではないかと考えています。
一方で細かい時間管理が困難な業態や時間管理にコストがあまりかけられない中小企業では固定残業の導入をまだまだ検討しなくてはならないという会社もあるかもしれません。
残業代の支給は、残業をした時間数に対して残業代を支給するという形で運用できないかを慎重に検討しておくべきです。固定残業制度の導入に100%適切な労務管理と断言するのは困難になっていくと考えられるからです。固定残業が100%適切な労務管理と断言できるのであれば、理想的な方法でも十分に対応をしていけるはずなのですね。
【厚生労働省が固定残業を不可と考えている訳ではない】
厚生労働省が固定残業の運用を不可としている訳ではありません。ハローワークインターネットサービスで公表しているリーフレットで固定残業を導入している会社への求人票記載に関するポイントを公表していますが、かなり細かい運用を求めているものの不可としている訳ではないことがわかります。
【厚生労働省が公表している運用のポイントとは】
厚生労働省が求人票の記載において挙げているポイントは、求人票の記載に関するものだけではなく、制度の運用においても非常に参考になります。
■時間外労働の有無にかかわらず固定的に支給されるものであること
■支払った固定残業の時間数を超える時間外労働分は法定通り追加で支給あれること
このふたつをポイントとしています。今月は時間外が想定の半分だったから固定残業を半分だけ支給というようなことは不可としているのです。
【使用者にとって都合の良い運用をしがちな固定残業制度】
厚生労働省が周知をしている背景には、固定残業は使用者にとって都合の良い運用がされがちになり労働基準法違反となったり、直ちに違法とまでは言えないまでもブラック企業として批判を受けるような状態を招きやすいことを危惧していると考えられます。
固定残業を支払うことで残業のことを考えないようにしたいとか、休んだら控除すれば良いと考えている場合は、固定残業制度の導入はやめておきましょう将来的に労務管理でトラブルになってしまいます。
適切に運用をしようとルールを策定すると、「固定残業を導入するメリットってあるの?」と質問をいただくほどこまかい時間管理などをしていかなくてはならないものになります。それでもなお、固定残業の導入をしなくてはならない場合は、お手伝いをしておりますのでご相談ください。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年6月10日掲載-118)
【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】
(労務管理資料お問い合わせ番号:00052:ハローワークインターネットサービス)
求人申込書(フルタイム・パートタイム)記入上の留意点(平成28年4月版)
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/koteizangyo2803.pdf
※資料等のリンクはブログ投稿時点でリンクをしていたものです。リンク先が変更した場合など見ることができなくなることがございますのでご了承ください。