■解雇理由に妊娠・出産を明示していなくても育児介護休業法や男女雇用機会均等法に違反するか
解雇をした際に解雇理由によってその有効性が争われる場合がありますが、報道された事例では「職場の秩序を乱したため」として解雇されたものが、東京地裁にて解雇無効と判断されました。
解雇理由に妊娠・出産を明示していなくても妊娠・出産間もない時期に、不合理な理由で社員を解雇した場合、解雇理由に妊娠・出産を明示していなくても育児介護休業法や男女雇用機会均等法に違反すると判断しています。
控訴となるかどうかは不明ですが、控訴されるようであれば注目をしていきたい事例ですね。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170703-00000099-asahi-soci
【転勤や給与ダウンは慎重に検討を】
今回の事例では「転勤」か「大幅に給与が下がる業務」かの二択を迫られたものでした。どちらも従業員に大きな負担を強いるものであったと考えられます。
一方で会社の事情もありますから勤務地の変更や給与に影響がある職種の変更のすべてが不可ということではないと筆者は考えます。
ただし、その影響を受ける従業員の置かれている状況も十分に考慮してできる限りの配慮をすることが重要と言えるでしょう。
育児休業からの復帰の労務問題は、感情的になってしまう場合がありますが、お互いの感情をぶつけあうだけではまったく意味がありませんので歩み寄る姿勢が必要です。
【意図がどうなのか第三者からの視点でも検討する】
会社が解雇理由に妊娠・出産にまつわるものではないと主張したとしても、不合理な理由で解雇をされた場合は、育児介護休業法や男女雇用機会均等法に違反すると判断される可能性があるわけですから、第三者の視点からみて解雇が不合理でないかや隠れた意図がないかを検討すると良いでしょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年7月4日掲載-142)