■従業員への貸付金制度を設けることは得策か
従業員への貸付金制度を検討したいとの打診をいただくことがありますが、「どうしても導入をしなければいけない事情がありますか?」と再検討することを促しています。
「従業員が長く働くために有効活用できる制度」ということを目的として検討していくのですが、従業員満足の向上に一役買う一方でトラブルもたくさんあることを認識した上で本当に必要かどうかを検討していきましょう。
【良かれと思って貸したお金がギャンブルに使われていた】
どういう時に貸付金制度を利用することができるのかを明確にしておきましょう。また本当にその要件に当てはまる事情があるのかどうか、証明する書類等を提出してもらうようにすると良いでしょう。
特に限定をせずに本人からの申告を信じて貸付をした結果後からギャンブルに使っていたことが判明したというトラブルが発生することもあります。
【返済できないというリスクを回避するために】
貸付金制度を利用していた従業員が、突然行方不明になり、連絡がつかなくなった時はどうしますか?
貸付金のことなど頭になく、心配で連絡を取り続けるでしょうが、後から貸付金の問題が待っていることになります。返済ができないというトラブルがあることも想定をしておかなくてはなりません。
退職金制度がある場合においては、その貸付を受けることができる金額を確定している退職金の範囲内とすることが良いでしょう。これには退職時に貸付金の残額がある場合は、退職金から控除をして返済に充てることへの同意を取り付けておくことが必要です。中小企業退職金共済制度のように従業員に直接退職金が振り込まれてしまう場合は、回収が困難となる場合もありますのでその点を考慮して決めましょう。
【設けなくても良いならやめておこう~それでも設ける場合は規程を~】
どうしても制度を設けたいという事情がないのであれば、やめておくことをお勧めします。
どうしても導入をしなくてはいけない事情があるのだという会社は、しっかりとした貸付金規程を作成してからにしましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年7月23日掲載-161)