■違法な残業に対して「納期に間に合わせるためだった」は労働基準監督署に通用しない
36協定で定めた上限時間を超えた違法な残業をしていたとして、労働基準監督署が書類送検をした事例が報道されました。
36協定の内容が1ヶ月80時間を上限としていたことに対して、実態は最大160時間弱とほぼダブルスコアとなっていたようです。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:伊勢新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180126-00001415-isenp-l24
【納期がひっ迫していても労働基準監督署には通用しない】
特別条項を適用する場合には、特別な事情が必要とされていますが、平成16年4月1日から、特別な事情は臨時的なものに限ることとされています。
その臨時的なものの例として納期のひっ迫が挙げられていますが、これは特別条項を適用する場合のものです。
特別条項を適用するための理由として認められているとしても特別条項で定めた上限時間を超えて時間外労働をしてしまったということは労働基準監督署には通用しません。
納期が迫っていることと労働基準法の遵守に挟まれてしまうことがあるかもしれませんが、今回の事例をみてもわかるように大幅に超えてしまうと書類送検も視野に入ることを認識しておかなくてはなりません。
【だったら36協定の上限時間を増やすのかという問題】
今回の事例において、仮に36協定を160時間として締結をしていれば、違法な時間外労働とはならなかったのかもしれません。
一方で、36協定の上限時間を増やしたことだけをもって「過重労働を前提としている」と批判されている事業所もあるため、安易に増やすこともできない状況です。
本来は長時間労働が解消できればこれに越したことはありませんが、仮に二者択一の状況しかないのであれば、違法な残業をするよりは、批判を受けることを選択するしかないのかもしれません。
仮に違法な残業とはならなかったとしても、労働基準監督署からは長時間労働の削減に関する指導を受けることになります。
時間外労働の削減に対する具体的な対策を継続的に実行することは必須です。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年1月27日掲載-349)
※ 写真はイメージです