■疾病の発症が業務に起因するものならば療養中になされた休職期間満了による退職は無効~歯科医院に賠償命令~
疾病の発症が業務に起因するものであるならば、就業規則に定められた休職期間の満了で退職とすることは違法として、裁判所が使用者に対して賠償命令をした事例が報道されました。
使用者は控訴をする方針のようですから、今後の控訴審等に注目をしたいところですが、裁判所が実際にこのように判断をすることがあることは認識をしなくてはいけません。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:讀賣新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180127-00050026-yom-soci
【マタハラと判断されてしまう言ってはいけない言葉】
報道から疾病の発症にはマタハラがあったことが原因とされています。産前産後休業や育児休業の取得の申し出があった時に
「また産休やるの」
「自分の都合ばっかりで、こっちの不利益は考えないの」
こういった発言を裁判所はマタハラと判断してしまいます。使用者として苦しい立場だったとしても、法令により認められている権利ですからぐっとこらえて認めることが必要です。
報道には「有給休暇をの取得を断念させるなど嫌がらせ」とあり、詳細はわかりませんが、マタハラの連鎖のようになってしまうので、深呼吸をして自身がする言動がマタハラにならないかを考えて、慎重な対応をすることがお勧めです。
【中小企業にとっては負荷がかかってしまう現実】
産前産後休業・育児休業は、中小企業の経営者にはまだまだ負荷が大きいという現実があります。
従業員が休業している間に代替の人材を入れると育児休業から復帰したときに1人が余剰人員になってしまうという規模の事業所にとっては大きな負担です。
このあたりは、国の施策として、育児休業をしている従業員の代替として、あえて非正規(期間限定)で入社をしてくれた労働者に給付金を出すような仕組みができると良いなと筆者は考えてしまいます。
現状だと、人員は使用者が考えることになっているので負荷になって、労務問題が起こる側面は否定できないと考えています。
【負荷がかかるから権利を侵害しても良いということではない】
負荷がかかるから、従業員にはそこをくみ取ってほしいと権利を侵害するような言動をしてはいけません。
今回の事例のようにトラブルになってしまうと使用者には厳しい判決となってしまいますので慎重な対応をしましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年1月29日掲載-351)
※ 写真はイメージです