■労働者が就業規則を見ることができないことが典型例:就業規則の周知に関する是正勧告
「会社が就業規則を見せてくれません」と労働者が労働基準監督署に相談をすれば、多くの労働基準監督署は労働基準法第106条の話をするはずです。
(労働基準法第106条第1項)
使用者は、この法律およびこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第37条第3項、第38条の2第2項、第38条の3第1項ならびに第39条第4項、第6項および第7項ただし書に規定する協定ならびに第38条の4第1項および第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。
労働基準法において就業規則は常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならないとなっているので、
法律により見せなくてはならないことになっていると話をするでしょう。
そして労働基準法に定められているということは違反があれば労働基準監督署から是正勧告を受ける対象となります。
【置いておけば良いということではなく「いつでも誰もが自由に見ることができる」がキーワード】
是正報告に対する対応は難しいものではありません。シンプルな対応は、事業所に備え付けることでしょう。
備え付けのポイントは、いつでも従業員の誰もが備え付けてある就業規則を自由にみることができるということにあります。
一部の従業員しか入ることのできない、個人情報の取扱区域に置いたり、社長や総務部長の引き出しに置いておくことも不可です。
声をかけてくれればいつでも見せるということは、しまっている人がいなければ見ることができないので「いつでも」に対応を仕切れていないことになるのです。
【データで置くことも可能だが、パソコンを使えない人にも配慮を】
いつでも誰もが自由に就業規則を見ることができるのであれば、データで置いておくことも差し支えないといえます。
ただし、事業所内にパソコンを使えない人がいるかもしれないと考えておきましょう。会社は法令遵守をしている自負があっても、パソコンを使えない従業員にとっては、見せてもらっていないことと同じ状態になってしまいます。
データの見方を教えてあげるなど、きめ細やかな対応をしていくと良いでしょう。
【労働基準監督署には写真などを添付して是正報告】
事業所に備え付けたことをもって是正報告をするのであれば、置いてある様子を撮影した写真を添付して労働基準監督署に報告をすると良いでしょう。
データで周知をした場合は、書き方で気をつけた方が良い事項がありますので中部労務管理センターまでお問い合わせください。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年3月15日掲載-395)
※ 写真はイメージです