■必ず押さえておきたいマイカー通勤に関する労務管理の5つのポイント
緊急の課題ではないのだけれども、いつかは整理をしなくてはならなくて、そうはいっても他の仕事を優先して取り組めていない業務ってありませんか?
マイカー通勤に関する制度の整備は、そのポジションに陥りやすく、運用における悩みを持つ担当者の方も多くいるのではないかと思います。
【マイカー通勤の許可制導入がおすすめ】
マイカー通勤を認めるにあたり、その方法は各社により異なりますが、大きく分けると「会社への届出制(届け出れば原則として認める)」もしくは「会社による許可制(承認がなければマイカー通勤をすることができない)」の2つの方法であり、会社が負うリスクの低下を目的とするのであれば、許可制とすると良いでしょう。
【規程を作成し、許可要件を載せておく】
マイカー通勤規程は、必ず作成をしておきましょう。しっかりしたものを作成しておけば発生してもおかしくないトラブルや悩みを事前に解消できます。
会社が、従業員のうちどのような要件をクリアした場合にマイカー通勤が認められるかという許可要件を必ず記載しておきましょう。
許可要件として検討する事項の例は下表の通りです。
許可要件とするべき事項 | 具体的な内容 |
---|---|
運転免許証について | 有効なものを所持しているか確認 |
事故歴について | 過去に重大な事故を起こしていないか申告をしてもらう |
任意保険の加入状況と補償内容 | 基本的には対人・対物無制限を要件とする |
車検・自賠責保険 | 有効であるか確認 |
通勤方法の妥当性 | 公共交通機関など他に妥当な手段がないか |
既往歴 | 運転に支障がある既往歴がないか申告してもらう |
その他の事情 | 確認が必要と思われる事項を要件とする |
【発生しそうなトラブルを想定する】
免許証が有効かどうかや任意保険の加入状況はどのように確認をしますか?確認した記録を取っておかないとトラブルに発展する可能性があるためどのような手法が適切かを検討することが良いでしょう。
・申告に嘘があった場合は?
・事故を起こした場合は?
・事故はなかったものの飲酒運転が判明した場合は?
・提出書類に偽造があった場合は?
・違反により免許停止や免許取消になった場合は?
・会社のものをマイカーに持ち込んでも良い?
・マイカーが盗難にあい中に会社の情報があったときは?
・駐車場所は決める?決めない?
可能性のある事項はなるべく事前に想定をして、禁止する事項などがあれば規程に載せて周知をしておきましょう。これを行うことで行っていなかった場合と比べると格段に悩みが少なくなります。
【駐車場代の徴収について検討および対応をする】
マイカーで通勤してきたときの駐車場の費用は無料でしょうか?駐車場の数が限られている場合や会社の負担が大きくなりすぎるなどの理由から有料としている会社もあるのではないかと思います。
ハローワークで求人を出すに際しても、駐車場が無料か有料か確認をされます。ハローワークがわざわざ確認をするということは、トラブルになる可能性があるということですね。
特に有料の場合は、事前に説明をして、費用負担の同意を取っておきましょう。そして給与から駐車場代を控除する場合は、労働基準法第24条による賃金控除の協定書が必要となります。そちらも忘れないよう締結しておきましょう。
【より洗練された規程にするために】
上記の4つのポイントを押さえることで規程として良いものになっていくと思います。これに加えてさらに押さえるべき事項を入れることにより、洗練された規程になっていきます。最後のポイントについては、非常に細かく検討をしていくべき事項なのでぜひお問い合わせください。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月23日掲載-10)
【参考条文】
(労働基準法第24条)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令もしくは労働協約に別段の定めがある場合または厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合または当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。