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■特別条項付きの36協定についてその特別条項を適用する際の手続き

【36協定を締結したら完了ではない】

1ヶ月45時間や1年360時間[対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の対象者の場合は1ヶ月42時間1年320時間]など延長時間の限度を超えて残業をする場合に労使当事者間において定める手続きを経なくてはなりません。36協定を締結すればすべて完了ということではなく、限度時間を超えて残業をする場合は、別途の手続きが必要となります。

 

【別途の手続きとは何か】

厚生労働省や労働局が公表している協定例を見ると、多くのものが「労使の協議を経て」という手続きを例として挙げているため、これをそのまま採用している会社も多いのではないかと思います。
 
 労使の協議を経てということは、限度時間を超えることとなる日に延長をしなくてはいけない理由が正当かどうか、回数などの制限に違反をしていないかなど協定の範囲内であることを確認し、労使間で特別条項の適用を行うことについて協議をしなくてはならないことになります。
 
 通達(平成15年10月22日基発1022003号)において、「労使当事者間において定める「手続」については特に制約はないが、時間外労働協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。」としており、上記の協議のほか、通告という方法も選択肢のひとつであることを示しています。

 

【実務的視点では通告がお勧め】

労働基準監督署の調査においても、特別条項の適用については、延長する理由が適切かどうか、協定で定められた手続きを経ているかなどを細かく見られるケースもあります。
 
 協議の他には「通告」と「その他の手続」が挙げられていますが、その他の手続はそれが適切かどうかは個別判断になるため、「協議」か「通告」が良いでしょう。
 
 では「協議」と「通告」ではどちらが実務的に進めやすいかと考えると「通告」の方が進めやすいことは感じていただけるのではないでしょうか?その視点では「通告」がお勧めということになります。
 

【所定の手続きの時期や内容等を書面にて記録することが必要】

「労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面で明らかにしておく必要があること」とされており、これは「協議」でも「通告」でも「その他の手続」でも必要となります。

協議であれば、議事録をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。「通告」を選択した場合の記録のイメージは中部労務管理センターまでお問い合わせください。
 

【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】

(労務管理資料お問い合わせ番号:00008:厚生労働省)
時間外労働の限度に関する基準
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000123090.pdf
※資料等のリンクはブログ投稿時点でリンクをしていたものです。リンク先が変更した場合など見ることができなくなることがございますのでご了承ください。 

 
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月26日掲載-13)
 
【参考条文】
(労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準:平成10.12.28労働省告示154号、最終改正平成21.5.29厚生労働省告示316号)
 [第1条:業務区分の細分化]
労働基準法(以下「法」という。)第36条第1項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)をする使用者および労働組合または労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該必要のある業務の範囲を明確にしなければならない。

[第2条:一定期間の区分]
 労使当事者は、時間外労働協定において1日を超える一定の期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、当該一定期間は1日を超え3箇月以内の期間および1年間としなければならない。

[第3条:一定期間についての延長時間の限度]
(1)労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第1の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨および限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合は、この限りでない。
(2)労使当事者は、前項ただし書の規定により限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定めるに当たっては、当該延長することができる労働時間をできる限り短くするように努めなければならない。
(3)労使当事者は、第1項ただし書の規定により限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を法第36条第1項の規定により延長した労働時間の労働について法37条第1項の政令で定める率を超える率とするように努めなければならない。

[第4条:1年単位の変形労働時間制における一定期間についての延長時間の限度]
(1)労使当事者は、時間外労働協定において法第32条の4の規定による労働時間により労働する労働者(3箇月を超える期間を同条第1項第2号の対象期間として定める同項の協定において定める同項第1号の労働者の範囲に属する者に限る。)に係る一定期間についての延長時間を定める場合は、前条の規定にかかわらず、当該労働者に係る一定期間についての延長時間は、別表第2の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。
(2)前条第1項ただし書、第2項および第3項の規定は、法第32条の4第1項の協定が締結されている事業場の労使当事者について準用する。

[第5条:適用除外]
 次に掲げる事業または業務に係る時間外労働協定については、前2条の規定(第4号に掲げる事業または業務に係る時間外労働協定については、厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る。)は適用しない。
(1)工作物の建設等の事業
(2)自動車の運転の業務
(3)新技術、新商品等の研究開発の業務
(4)季節的要因等により事業活動もしくは業務量の変動が著しい事業もしくは業務または公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの

 
(別表:第1(第3条関係)

【 期間 】 限度時間
【1週間】 15時間
【2週間】 27時間
【4週間】 43時間
【1箇月】 45時間
【2箇月】 81時間
【3箇月】 120時間
【1年間】 360時間

 
 

(備考)一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。
(1)1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間15時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間
(2)1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間27時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間
(3)2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間43時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が27時間を下回るときは、27時間)
(4)1箇月を超え2箇月未満の日数を単位とする期間81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が45時間を下回るときは、45時間)
(5)2箇月を超え3箇月未満の日数を単位とする期間120時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が81時間を下回るときは、81時間)

 
(別表:第2(第4条関係)

【 期間 】 限度時間
【1週間】 14時間
【2週間】 25時間
【4週間】 40時間
【1箇月】 42時間
【2箇月】 75時間
【3箇月】 110時間
【1年間】 320時間

 
 
(備考)
一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。
(1)1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間14時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間
(2)1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間25時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間
(3)2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間40時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が25時間を下回るときは、25時間)
(4)1箇月を超え2箇月未満の日数を単位とする期間75時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が42時間を下回るときは、42時間)
(5)2箇月を超え3箇月未満の日数を単位とする期間110時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が75時間を下回るときは、75時間)