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■この端数どうするの?給与計算の際に困る端数処理の方法とは

給与計算を行う際に端数をどのように処理するかわからないというご質問をいただきます。たかが1円、されど1円ということで気になり出すとはっきりしなくては落ち着かないのではないでしょうか?
 

従来からのシステムを使用している場合は、あまり気にかけることはないかもしれませんが、新規で給与計算システムの設定を行う場合や、手計算で給与を行う場合に壁に当たります。

 

【割増賃金計算の際の端数処理は】

次の3つの方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと考えられているので、労働基準法第24条(賃金の支払)および労働基準法第37条(割増賃金)違反としては取り扱われないこととされています。

 

端数が生じた状況 許されている処理方法
1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合 30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げること
1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合 50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げること
1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合 0銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げること

 
 

【1ヶ月の支払額における端数処理は】

銀行口座への振込により給与を支給する場合は、あまり関係ないと思いますが、現金で支給する会社は、下2桁が99円の従業員がいるとそれを用意して封詰めをするだけで一苦労ですね。そのような場合に対して許されている処理方法があります。

 

端数が生じた状況 許されている処理方法
1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満の端数が生じた場合 50円未満の端数を切り捨て、50円以上を100円に切り上げて支払うこと
1箇月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数が生じた場合 当該1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

 

 

【平均賃金の計算における端数処理は】

昭和22年11月5日基発第232号により、1日の平均賃金算定に当たり、銭未満の端数を生じた時はこれを切り捨てるものとされています。

 
 平均賃金を元にして休業手当等を計算する場合は、労使間で特約があれば特約に従い、ない場合は、円未満の端数が生じたときには、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げることになります。
 

【雇用保険料・社会保険料を控除する際の端数処理は】

雇用保険料および社会保険料については、事業主と被保険者との間に端数処理に関する特約がある場合は、その特約の処理で良いこととなっています。
 
 つまり会社でこの端数処理に関するルールが決まっている場合(1円未満はすべて切り捨てる、1円未満はすべて切り上げるなど)、その取扱いを継続して良いということです。
 
 もし、雇用保険料および社会保険料について、特に取り決めがないような場合は、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律により下記のように取扱います。

 

保険料の徴収方法 端数処理の方法
事業主が被保険者負担分の保険料を給与から控除する場合 51銭以上1円未満の端数は1円に切上げ、50銭以下の端数は切捨てる
被保険者が被保険者負担分の保険料を事業主に現金で支払う場合 50銭以上1円未満の端数は1円に切上げ、49銭以下の端数は切捨てる

 

 
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年3月4日掲載-20)
 

【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】

(労務管理資料お問い合わせ番号:00011:愛知労働局)
賃金計算の端数の取扱い
http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0117/5956/hasuutoriatukai.pdf

※資料等のリンクはブログ投稿時点でリンクをしていたものです。リンク先が変更した場合など見ることができなくなることがございますのでご了承ください。 

 

【参考条文】
(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第3条第1項)
債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に50銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に50銭以上1円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭以上1円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を1円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。