■【前編】副業を認めるにあたり注意しておきたい4つのポイント~ダブルワークの人材を確保するときのポイント~
就業規則にて副業を禁止する会社は相当数あることが推測される反面、副業を積極的に推奨する会社も増加する傾向にあります。
自身の経験の拡大や個人の能力をシェアできるというメリットがある反面、労務管理においては、知らなかったでは済まされない注意をしておきたいポイントがあります。
【ポイント1:副業の労働時間は本業の労働時間と合算される】
労働時間の上限は、一部の特例が適用される事業所を除き、1日8時間、1週40時間とされています。この中に本業と副業がある場合は、どのようになるのでしょうか?
1日(0時から24時まで)の中で本業と副業それぞれ異なる事業場で従事したとしても労働基準法等の労働時間に関する規定の適用については、その労働時間を通算するとされています。
労働時間が通算されると、何があるのか・・・
1つの事業場だけで見ると法定労働時間を超えていなくても、合算して法定労働時間を超えるのであれば、割増賃金を支払う必要がでてくるということがあり、さらには
36協定における時間外労働の時間管理もしていかなくてはならないということがあります。
【ポイント2:割増賃金の支払いは通常は後で雇用契約を締結した事業主となる】
では、本業と副業でどちらが割増賃金を支払う義務があるのかというと、一律で「本業が支払う」「副業が支払う」というようにされている訳ではありません。
割増賃金の支払いは、原則として後から契約をした事業主が支払うものとされています。つまり、
雇用をする時に他の事業所で何時間働いているかを確認することが必須となります。
他の事業所で何時間働いているかを確認し、もし自身の事業所で働いていただく時間と合算して8時間を超える場合は、8時間を超える時間について、2割5分以上の割増賃金(他の事業所での勤務状況によっては、3割5分以上の割増賃金)を支払う義務があることを意識しておきましょう。
雇用契約をした順番 | 働く時間数 |
---|---|
[本業A社]1番目に契約 | 9時から18時の8時間(休憩1時間) |
[副業B社]2番目に契約 | 19時から21時の2時間(休憩なし) |
※ この場合は、2番目に契約をしたB社が割増賃金を負担する
雇用契約をした順番 | 働く時間数 | |
---|---|---|
[A社] | 1番目に契約 | 8時から12時の4時間 |
[B社] | 2番目に契約 | 18時から22時の4時間 |
[C社] | 3番目に契約 | 13時から17時の4時間 |
※ この場合は、3番目に契約をしたC社が割増賃金を負担する
【すでに他の事業所で勤務している労働者と雇用契約をする場合は割増賃金を考慮した時間給の設定も検討する】
上記のようにダブルワークにおいては、割増賃金の支払いを避けられないケースも出てきます。仮に雇用をするにあたり、時間給の予算が1,250円だったとするならば、そのまま契約をしてしまうと、割増賃金(2割5分以上)の支給対象となった場合、
1,250円×1.25=1,563円の支払いが必要となります。
他の事業所で8時間を働いた後で副業として働いてくれる方と雇用契約を締結する場合、すべてが割増賃金の対象となりますのでこのような場合は、時間給1,000円として雇用契約をし、割増賃金を支給して1,250円とすれば予算に収まるということも考えられます。法違反を指摘されないように働いてくれる方とお互いが合意した上で時間給を検討するとトラブルも回避でき、今後の人材確保の選択肢のひとつとして運用できるのではないかと考えます。
明日の後編では、ダブルワークをする方の視点からみた注意点を挙げていきます。
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