■業界の常識が通用しない労働基準監督署の調査
ビジネスで何かの目的を達成しようとするときに労働基準法の遵守とは真逆の方向に進んでしまうことをこれまでの調査対応で経験したことがあります。そうでなくては他の企業が達成できない水準までその目的を追うことができないということも一理あると思います。
それが良いか悪いかは置いておいて、今の日本の一部をこのような精神が創り出していることは間違いがないのではないでしょうか?
業界の常識が労働基準監督署の調査により、一石を投じる結果となった事案が報道されました。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170422-00000006-asahi-soci
【36協定の届出をしていない場合の代償は大きい】
ラーメン店などを展開する企業に対して天満労働基準監督署は、約1ヶ月間の間に最長で200時間の残業をさせた疑いがあるということで書類送検をしました。
大阪労働局が公表している文書では、36協定を締結して所轄の労働基準監督署に届け出をしていないことを指摘しています。
36協定の届け出をしていない+時間外労働・休日労働の時間数が多い=代償がより大きくなることを示していますね。
【「業界では当たり前」は労働基準監督署に通用しない】
報道の中で企業のコメントとして「業界では当たり前だった」ということが載せられていますが、きっとその通りだったのだろうと思います。
飲食業界の過重労働はしばしば報道されていますし、人手不足であるが故に営業時間を短縮する動きも出ています。慢性的な人手不足のしわ寄せが在籍している従業員に来たということもあるのでしょう。
一方で「どこの企業もそうだ」「慢性的な人手不足だから」「目的達成のために」という理由は、労働基準監督署にはまったく通用しません。それは今回の案件からもはっきりしていますね。
【残業代の未払いも同時に指摘される例が多い】
36協定違反を指摘されると同時に残業代の未払いについても指摘をされている例が多いことは偶然ではありません。労働基準監督署としては、付随して違反がある可能性が高いとして調査をするからです。
これからの働き方改革を目前として対応をしなければならないことのひとつは、未払い残業がないようにすることです。特に慢性的な人手不足が予測される業界では、未払い残業があるというだけで求人の応募として選択されない状態になってしまうからです。
中部労務管理センターでは、応募者から選ばれるための環境整備のお手伝いもしております。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年4月24日掲載-71)
【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】
(労務管理資料お問い合わせ番号:00043:大阪労働局)
労働基準法違反の疑いで書類送検(平成29年4月20日公表)
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H29/soken/290420-tenma2.pdf
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