■36協定の締結や届け出を忘れていたときはどうすれば良いか
36協定は原則として1年に1回の手続きですから気づいた時には、時期が過ぎていたという経験をされた方もいるのではないかと思います。前任の方から聞いていなかったなど様々な理由があすでしょう。
有効な36協定というためには、(1)正しい手続きを経て協定書の締結がされていること、(2)所轄の労働基準監督署へ届け出がされていることの2つを満たす必要があります。
【忘れていた場合は少しでも早く締結と届け出をする】
シビアに言ってしまうと上記の(1)と(2)の要件を満たすことなく時間外労働や休日労働を従業員にさせてしまったとなると労働基準法違反です。繰り返される36協定に関するニュースでご承知の方も多いことでしょう。
一方で人間のやることですから忘れていた・知らなかったはあり得ることです。気づいたからには、少しでも早く締結と届け出をすることがまず必要なことです。
36協定には周知義務があります。届け出をしたものの控えを、見やすい場所に掲示しておくことは、この周知義務を果たすとともに次の協定の防備録になる効果もありますから来年が心配という方は、次に取りかかる時期も一緒に掲示しておくと良いでしょう。
【36協定の期間の遡及はしないこと】
そもそも締結を忘れていた時に、その空白の期間について遡って協定書を締結しようとすることがあるかもしれません。
従業員から「協定の成立年月日が違いますよね?」という指摘があるとするならば返す言葉はないはずです。
意味がない遡及は止めておきましょう
こういう時こそ適切な方法で締結と届け出を行うことが重要です。労働基準法違反ではあるものの、悪質と判断される状況でなければ、労働基準監督署も指導や注意に留める場合もあります。
心配な方は中部労務管理センターが一緒に労働基準監督署に行きますから相談をしてください。
【届け出をしないと有効とはいえない】
36協定は前記の通り、所轄の労働基準監督署に届け出をしないと有効とはなりません。締結はちゃんとしたのに出し忘れていたというような場合も、できる限りの誠実な対応をすれば良いでしょう。
【従業員に対してきちんと説明をすることが大事】
36協定について、たくさんの報道がされていますから自ずと従業員の皆さんの協定に関する認識というものは出てくると思います。
「36協定なんて知らないだろう」とか「適当に説明をして終えてしまおう」と正しい手続きを経ることなく処理をしてしまうと大惨事になることも少なくありません。
従業員にちゃんと説明をすることで「そういうことなんだ」とか「会社は労働基準法を守ろうとしてこういう説明をしているんだ」という認識が広がり、安心感を与えることができます。従業員に選んでもらえる会社となるためにもぜひ取り組みをしていきましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年4月25日掲載-72)