■転職した後で傷病手当金を受給することとなった場合に、転職前の標準報酬月額は加味されるのか
平成28年4月1日から傷病手当金・出産手当金の計算方法が変更となって「従前の計算方法が良かった」「変更となって良かった」と様々な感想を聞いてきました。
制度だからやむを得ないとはいえ、転職して12カ月を経過する前に傷病手当金を受給することになってしまった方にとっては、制度変更が辛いものになるということが多かったのではないかと思います。
【現在は原則として「支給開始される日以前の継続した12カ月間各月の標準報酬月額を平均した額」から算出される】
社会保険に加入をして12カ月を超えている場合は、支給開始される日以前の12カ月間の標準報酬月額から受給額が算出されます。この場合は、比較的収入の実態が反映されやすいと言えるかもしれません。
社会保険に加入をして12カ月に満たない場合は、協会けんぽの場合、下記の(1)と(2)の少ない額を傷病手当金の受給額計算に使うとされています。
(1)支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
(2)28万円(平成29年4月現在)
【前職の標準報酬月額は受給額の計算に加味されるのか】
転職したものの前職でも社会保険に加入をしていた場合にその期間は受給額の計算に使われないのかということが疑問点として出てきます。
転職後の健康保険の保険者が協会けんぽの場合、前職の健康保険の保険者が協会けんぽであれば転職前後の標準報酬月額を通算して計算することになっています。
協会けんぽの場合、転職前と転職後の標準報酬月額が通算されるためには、両方が協会けんぽでなくてはいけない訳ですから、
前職の健康保険の保険者が健康保険組合の場合は通算しないということになります。
【通算できるから「得」、通算できないから「損」という訳ではない】
傷病手当金を受給する被保険者の受給額が多いことを「得」というとするならば、
通算できる=得ということではない
通算でない=損ということではない
一律で決まるものではないことを認識しておきましょう。
【傷病手当金を受給する日をよく検討する必要がある】
傷病手当金は、支給金額が決まると、その後に標準報酬月額が変更されても変更されることはありません。
よって受給開始する日をよく検討しなくてはならないということになります。ちょっとしたことで受給額が変わってしまうことも十分に考えられるためです。
中部労務管理センターでは、事前にご相談をいただければ、傷病手当金の受給額について検証するサービスも行っています。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年4月29日掲載-76)
【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】
(労務管理資料お問い合わせ番号:00044:全国健康保険協会)
傷病手当金・出産手当金の計算方法が平成28年4月から変わります!
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g3/cat310/280201seidokaisei.pdf
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