■ボーナスを支払っていることで未払い残業の代わりとできるのか
賞与の支払いがある会社は、6月から8月の間に支給がされることが多いのではないかと思います。賞与の時期になると貴重な経験をされた社長の言葉を思い出します。
【みんなが頑張ってくれているから賞与が支払えるのだ】
「みんなが頑張ってくれているから賞与が支払える」と労働基準監督署で社長は胸を張っておっしゃったそうです。
何を頑張っているかというと仕事もさることながら、「サービス残業があっても文句を言わずに頑張っている」ということだったのです。これについて労働基準監督署と議論になっていたのです。
【労働基準監督署は賞与が多くてもそれを残業代とは考えない】
社長の主張は、みんなが文句を言わずに頑張っていることに報いるために賞与を増額しているから未払いの残業はないと言いました。その気持ちはわからないことはないなぁと思ってしまうのですが、労働基準監督署には通用しません。
社長は何度も労働基準監督署に増額の経緯について話をしましたが、賞与の明細書には「賞与」としか記載がされていませんし、実際に従業員は、残業代の支給がされているという認識はない状態でした。
賞与が多くても残業の対価とはならないのです
残業代の支払いができていないのであれば賞与の増額よりまず残業代の支給が先だったと自身の苦い経験をもとに変化をしなければいけないということでのご相談でした。
【労働基準監督署は賞与がないことについては何も言わない】
未払いの残業についてすべて支払いをした結果、一時的に経営が苦しい状況になりました。その後に支払い時期を迎えた賞与は残念ながら支給ができない状況でしたが、労働基準監督署は賞与がないことについては何も言いません(社長の会社の就業規則には、賞与の支払いを確定するような記載はありませんでした)。
【法令順守への変化が一致団結に向けて背中を押すことも】
何より良かったのは、社長がしっかりと対応をしたことが従業員に伝わって、賞与がない中でも従業員の皆さんが仕事を頑張ったので業績はすぐに回復をしました。
賞与の増額をしていた社長の気持ちが伝わっていた部分もあるのかもしれません。問題が起こったときは、思い切って変化をするときでもあるのですね。
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