■36協定特別条項の適用を受ける際の手続き~労使の協議の他に方法はないか~
36協定における特別条項により、上限時間を超える時間外勤務を命じるためには労使当事者間において定める手続きを経なくてはなりません。
報道でも36協定の手続きについて適正に行われていなかったことが指摘されているようなものもありますが、適正な手続きは、働いている方々からも厳しい目で見られる時代になっていくものと思われます。
【厚生労働省の例は「労使の協議を経て」となっている】
厚生労働省や労働局が公表している協定例を見ると特別条項を適用する際には、「労使の協議を経て」という手続きが載せられています。
トラブルを招かないようにするためには、この「労使の協議」が適切なのだろうと思いますが、限度時間を超える際に、都度、労使で協議を行うことになりますので、特別な事情が存する繁忙期であるのに協議をしている時間がもったいないということも実体験で思われた方もいるのではないかと思います。
何よりその協議の議事録が大変だという現場の声をいただくことがあります。適正な手続きが現場に負担をかけてしまっているのですね。
【「労使の協議」より簡易的な手続きの「通告」】
特別条項を適用する際の手続きとして、労使の協議ではなく、「会社からの通告」という手続きにて行うこととして協定を締結すれば手続きが早く進みます。
通達の中で「労使当事者間において定める「手続」については特に制約はないが、時間外労働協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。」としており「通告」も認められています。(平成15年10月22日基発1022003号)。
労働基準監督署が調査で適正な手続きができているか確認をすることがある
ため、各事業所が対応できる形で協定を締結しなくてはなりません。
【通告にしても書面による記録は必要】
会社からの通告であれば、手続きに要する時間の短縮が期待できます。
しかし、労使当事者間において、とられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面で明らかにしておく必要があることに変わりはありません。
この手続き、記録がしっかり残っていなければ、適正な手続きをもとに運用がされているとは言えません。
適正な手続きにもたくさんのポイントがありますので各社の実態に即した手法で行っていきましょう
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年5月15日掲載-92)