■残業規制に向けて年間休日数を減らすことは有効な対策となるか
働き方改革の一環として残業規制が検討をされていますが、案として出されている時間数に対応することは非常に困難と考えている会社は少なくありません。
具体的な検討に参加をさせていただく中で対策のひとつとして検討に入る事項は「休日数を減らすこと」です。
休日数を減らすことは、いろいろな弊害が考えられるので慎重に検討することが必要です。
【休日数を減らすことで残業規制に対する対策として一定の効果は期待できる】
1日8時間で完全週休2日制だった会社を例に挙げると変形労働時間制の導入により、法令が許容する範囲内で特定の週を6日勤務にすることも可能になります。
従前の制度では、6日目の勤務は36協定の残業時間としてカウントされていたものがカウントする必要がなくなるということになりますので残業規制に対する対策として一定の効果は期待ができるということになります。
【一方的な休日数の減少は無効となる恐れがある】
一方的な休日数の減少は、労働契約法第10条により不利益の程度や変更の必要性、内容の相当性、交渉の状況やその他の事情を加味されたときに合理的と判断されるものでなければなりません。
無邪気に「残業規制にむけて休日数を減らしていこう」と実行に踏み切っても意味がないものになることも考えられる訳です。
よって、例えば代償措置を講じるとか、従業員の同意が得られるように慎重に検討をして、情報の提供や話し合いを実施して、労使の着地点を見つけることが重要です。
【パートなどの短時間労働者に対する社会保険の適用に影響がある場合も】
休日数の減少は、短時間労働者に対する社会保険の適用に影響が出ることが考えらます。その他残業単価の見直しや欠勤控除の計算の見直しなど影響は様々な方面に及びます。
【最も気を遣うべきは従業員のモチベーションの低下】
休日が少なくなることについて、嬉しいと感じてくれる従業員はごくわずかでしょう。場合によっては1人もいないかもしれません。
残業規制を気にするあまり、働く当人のモチベーションを下げてしまっては本末転倒です。
導入には代償措置が必要ですよ!これは賃金アップだけが答えではありません。導入を検討する際には、中部労務管理センターにご相談ください。時間をかけて検討をしていきましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年5月26日掲載-103)