■労使協定の提出・保管に迷ったときに
労働基準法で定められたもののほか、労使協定の締結が求められるケースは複数ありますが、どの協定書を行政官庁へ提出し、もしくはどの協定が提出をせず事業所にて保管(備え付け)をすれば良いかというご質問をいただくことがあります。
本日のお役立ちコラムは、労使協定の提出の要否について記載します。条件によって提出をしなければならない場合と提出をしなくて良い場合とに分かれる協定もありますので条件についてもご確認ください。
【提出をしなければならない協定】
■時間外労働・休日労働に関する協定(36協定) ※労働基準法第36条
■1年単位の変形労働時間制に関する協定 ※労働基準法第32条の4
■1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定 ※労働基準法第32条の5
■専門業務型裁量労働制に関する協定 ※労働基準法第38条の3
■任意貯蓄(社内預金・通帳保管)に関する協定 ※労働基準法第18条
【条件によっては提出をしなければならない協定】
■1ヵ月単位の変形労働時間制に関する協定 ※労働基準法第32条の4
就業規則により1ヵ月単位の変形労働時間制を採用する定めをした場合は、これにより労働をさせることができるため1ヵ月単位の変形労働時間制の協定の作成は必要ありません。(ただし、「詳細は労使協定により定める」というような場合は、作成・提出が必要)
常時10人未満の労働者を使用する事業で1ヵ月単位の変形労働時間制を採用したい場合は、そもそも就業規則の作成をする義務がない(労働基準法第89条)から「就業規則に準ずるもの」で定めることでも労働をさせることが可能です。
上記とは異なり、労使協定を導入することによって1ヵ月単位の変形労働時間制を採用する場合は、行政官庁への提出が必要です。
■事業場外労働に関する労使協定 ※労働基準法第38条の2
労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には行政官庁への提出は必要ありませんが、法定労働時間を超える場合は、行政官庁への提出が必要となります。(労使委員会または労働時間等設定改善委員会が設置されている事業場はその決議によって当該労使協定に代えることができ、この場合は行政官庁への提出も不要となります)
【提出をしなくてよい協定】
■賃金控除に関する協定 ※労働基準法第24条
■一斉休憩の適用除外に関する協定 ※労働基準法第34条
■フレックスタイム制に関する協定 ※労働基準法第32条の3
■年次有給休暇中の賃金に関する協定 ※労働基準法第39条
■年次有給休暇の計画的付与に関する協定 ※労働基準法第39条
■時間単位付与の年次有給休暇に関する協定 ※労働基準法第39条
■代替休暇に関する協定 ※労働基準法第37条
■育児休業・介護休業等の適用除外に関する協定 ※育児介護休業法第6条他
■雇用継続給付の支給申請の代理に関する協定 ※雇用保険法施行規則第101条の8他
■継続雇用制度(65歳まで)に関する協定 ※高年齢雇用安定法第9条第2項
※ ただし、例えば60歳定年の会社にて定年退職となる従業員がいる場合において、離職票発行の際に労使協定の写しを求められることがあります。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年6月15日掲載-123)