■始業前の体操や朝礼を労働基準監督署は労働時間と判断するか
始業前に体操や朝礼、掃除や引継ぎの報告や理念の唱和などちょっとした時間を仕事に関連する時間として使っている会社もあるのではないかと思います。本日の労務管理ポケットメモは始業前の体操と朝礼に対して労働基準監督署が是正勧告をした事例についてです。
(出典:毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170725/ddl/k22/020/245000c
【労働基準監督署は始業前の体操と朝礼を労働時間と判断した】
日本で行われているすべての体操と朝礼が一律に労働時間になるとまでは言いませんが、労働時間と判断をされる可能性は大いにあると考えておいた方が良いでしょう。
今回の事例は、従業員が労働基準監督署に相談をしたことがきっかけのようですが、労働基準監督署も慎重に調査をして出した結論でしょう。
実質的に体操や朝礼が業務と考えられるような体制になっていたのだと考えられます。会社が労働時間ではないと考えていても是正勧告による指導はされることもあります。
【掃除や引継ぎの報告、理念の唱和なども同様の問題がある】
今回の事例と同じようなケースで従業員から掃除や引継ぎの報告や理念の唱和はどうなるのか??という声が上がっても不思議ではありません。
実質的に会社が業務として指示や命令をしているような状況であれば、事業所を管轄する労働基準監督署がその時間を労働時間と判断しても不思議ではないことを今回の事例は示しています。
【従業員が自発的に行っているのであれば労働時間と判断しないことも考えられる】
従業員が自分たちの意思で有志を募って体操をしているということであれば、労働基準監督署は労働時間と判断しない可能性もあるでしょう。これは、労働基準監督官が従業員に直接聴き取りをする方法で判断することもあるでしょう。
会社が一方的に任意だと思っていたという状況では意味がありません。実態を確認したい場合は従業員全員に聴き取りをしてみるなど現場の声を聞くと良いでしょう。従業員の一部でも強制や義務と考えている人がいるのであればそれは労働時間といえるかもしれません。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年8月9日掲載-179)