■休日や深夜に一定の手当を支払っている場合に労働基準監督署からどのような指導を受けるか
休日や深夜の勤務に適正な単価で残業代を出すのではなく、一定額の手当を支給することでその対価としているケースがあると思います。かねてからの習慣だとか、休日や深夜は、比較的楽な仕事だからというようなことで、「明確にどのような計算によってその対価としているか」がはっきりしているケースは少ないかもしれません。
適正な単価で支給する残業代等 < 支給する一定額の手当
の図式であれば、労働基準監督署の指導を受けることは少ないはずですが、
適正な単価で支給する残業代等 > 支給する一定額の手当
の図式であれば、労働基準監督署の指導を受ける可能性は高いと言えます。
このようなケースに対して労働基準監督署が指導をした事案が報道されました。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171008-00000030-asahi-soci
【一定額の手当を残業や深夜勤務の対価であると判断してもらう土俵に上がるために】
そもそも支給をしている一定額の手当が、残業や深夜勤務の対価であると判断してもらうためには、少なくとも雇用契約書や就業規則または諸規程にその手当の支給の意味合いが記載されていることが重要です。
記載がしてあって、ようやく残業や深夜勤務の対価であると判断してもらうための土俵に上がったと考えましょう。土俵に上がっただけで、労働基準監督署にその対価と確実に判断してもらえるということではありません。
判断してもらえる確率を上げるためには、その手当がどのような計算をもって算出され、何時間分の対価であり、超過をした場合にはその差額を支給するというところまで明記をしておくと良いでしょう。
【つまりは時間に応じた支給をしておくことがトラブルを起こさないためにはベストの選択】
「楽な勤務だから」「待機しているだけだから」「そこまで出していたら経営に支障があるから」というような理由で一定額の手当にしていますと言っても、それが足りないのであれば労働基準監督署には通用しません。
一定額の手当を支給することが違法ではありませんが、適正な単価で時間分を支給することがトラブルを起こさないためにはベストの選択といえることが今回の事例からもはっきりしています。
一定額の手当を支給する場合には、緻密な計算をした上で実施しておくことが必要です。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年10月9日掲載-239)