■「仮眠=労働時間ではない」との決めつけは危険
ラジオ体操や朝礼、裁量労働制の誤った運用など曖昧で何となく労働時間として取り扱っていなくてもそのまま過ぎていた事項に関する指導や訴訟が出てきていますが、今回の事案も大きなテーマのひとつと言えるでしょう。
いわゆる夜勤・宿直・仮眠・長時間の休憩・個室で待機など労働時間なのかそうでないのかどちらにも転ぶと考えられるケースですね。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180130-00000093-asahi-soci
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【裁判所は労働時間としていなかったことを「悪質」と指摘】
裁判所は、今回の事案において労働時間としていなかったことを悪質と指摘しました。会社は、仮眠をしてから労働時間ではないという主張をしましたが認められなかったということになります。
「夜勤の時には2時間おきに巡回」
「仮眠時間も守衛室を離れることができない」
「深夜でも苦情電話が頻繁にかかってきて対応をしていた」
宿直・夜勤と一言でいってもその具体的な状況で司法や行政の判断も変わるでしょうから少なくとも上記のような状況では労働時間としなければならないと言えます。
【本人が納得しているから良いという話ではない】
従業員自身が労働時間としないことを納得しているから大丈夫という話を聞くことがありますが、これは
問題視されていないだけで問題が解消し訳ではない
ことから
不満が爆発したときや退職した後で請求されても不思議ではない状況
だと思わなくてはいけません。何かしらの事情で不満ながらも今は辞めることができないということは珍しいことではありません。
【労働時間であることを前提に賃金を組むことを検討】
宿直であれ、長時間の休憩時間が組み込まれている夜勤であれ、状況によっては今回の事例のようにすべて労働時間であると認定されてしまいます。
だったら労働時間であることを前提に割増賃金など労働基準法を遵守する形で賃金の設定をすることを検討しましょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年1月31日掲載-353)
※ 写真はイメージです