■タイムカードを打刻した後で働かせている会社に労働基準監督署はどう指導するか
厚生労働省が公表した
労働基準監督署の指導により
支払っていなかった残業代を
企業が支払った金額・・・
446億4,195万円【平成29年度】
この中には1社で100万円未満
だった会社が含まれていない
ことから、
すべての労働基準監督署が指導を
したことによる支払総額はこんな
ものではありません。
労働基準監督署が残業の
未払いに関する指導を
することは珍しいことでは
なくなりました。
厚生労働省は、
「引き続き、賃金不払残業の
解消に向け、監督指導を
徹底していきます」としており、
平成30年度はさらに増加
していくことが見込まれます。
厚生労働省が公表した指導の
事例を今日から4日連続で
1つ1つ見ていきましょう。
本日は、タイムカードを打刻
した後で仕事をすることを
指示していた会社の事例です。
書面を整えることを優先すると内部告発で崩壊してしまう
労働基準監督署はタイムカードを
客観的な労働時間の根拠資料として
重視しています。
一方で、タイムカードの打刻が
偽装される可能性もわかって
います。
ぱっと見ただけでは、
タイムカードを打刻した後で
仕事をしているか帰宅をして
いるかわからないため、
安易に根拠資料を整える
ことに意識がいってしまう
会社があるのですが、
今回の事案のように、
従業員から情報が提供された
段階で、会社が持ってくる
タイムカードは、信頼性に
疑問がある資料という
状況からのスタートです。
今回の事案では、タイムカードを
打刻した後でメールの送信記録が
あったこと、
従業員にヒヤリングをした結果を
もって、労働基準監督署は
タイムカードの打刻後に仕事を
していると判断したようです。
こういった事例では、従業員が
立証する方法として録音や録画が
されているとより会社の故意である
ことがはっきりしてしまいます。
従業員に何らかの変化が出た
ときが、思い返せばきっかけと
いうこともありますので
今現在が違法な状態となって
いる場合は、労働基準監督署の
指導が入る前に自社で改善を
していきましょう。
悪質な会社と判断されると改善策に要する時間が半端ではない
労働基準監督署に悪質な
会社と判断されると、
改善策も並みのものでは
うまくいかないでしょう。
労働基準監督署が有効な
改善策と判断するには
相当なレベルのものが
必要になってきます。
今回の事案で挙げられている
会社も、タイムカードの打刻に
関する研修用DVDを作成するなど
今まで違法な状況だったとは
思えない動きですね。
改善策の実施にもかなりの時間を
かけて実施しないと、
数ヶ月・数年後に労働基準監督署が
やってきて同じ状態だったら
最悪ですから、
長期的に改善と適正な管理が
できる対策を講じていくことが
重要です。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2018年8月11日掲載-544)
※ 写真はイメージです