■残業の支給単位:適正な労務管理と判断されるのは○分単位
【残業の支給:原則としては1分単位】
残業代の支給において何分単位で支給しておくべきですか?とよく問い合わせをいただきます。
「誰から見ても適正な労務管理という評価をいただきたいのであれば、1分単位です」とお答えします。行政においても基本的な姿勢は1分単位としているためです。
30分未満については、切り捨てをしても良いという認識をしておられる方がおみえになりますが、これは昭和63年3月14日基発150号という通達(厚生労働省内部において労働基準法に関する解釈や見解を示したもの)により、その月における時間外の総労働時間数に30分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることができるとされているもので日々の残業時間数について30分未満を切り捨てて良いというものではありません。
(参考:大阪労働局ホームページ:Q11をご覧ください)
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/jikangai.html
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よって「誰から見ても適正な労務管理という評価をいただきたいのであれば、1分単位です」とお答えしているというわけです。
一方で会社にもいろいろな事情があります。従業員がタイムカードの打刻をする前に長々とおしゃべりをしていて、おしゃべりに満足した段階で打刻をしていた場合、どこまでが労働でしょうか?
多くの方がおしゃべりを開始する前と判断するのではないでしょうか?
しかし、客観的な資料として残っているタイムカードはおしゃべりが終わった後までの時間が記録されているのです。
仕事をしていたかおしゃべりをしていたからわからない労働基準監督官は、タイムカードの打刻時間を客観的な証拠として労働時間と判断する傾向が強く、内在する諸事情についてはあまり理解を示してくれません。
【だからこそ必要な事前防止策】
上記の通りタイムカードの打刻は、客観性が強い労働時間の証拠となります。もし勤務をしていない時間が労働時間とされてしまうことがあれば使用者としては不本意でしょう。
そこでただ不本意といるだけでは何の解決もしません。内在する諸事情をなるべく事前に防いでおかなくてはいけません。
例えば、タイムカードをなかなか打刻せずにおしゃべりをしている従業員がいれば、注意をしなければなりませんし、場合によっては就業規則によって義務づけをして正確な労働時間の記録ができるようにすることも有効な手段でしょう。
他にもタイムカードの機器が業務終了をした場所から遠いというような事情があるのであれば機器を近くに設置するという工夫も必要です。1日5分の時間を要するとするのであれば、20日で100分の労働時間ということになってしまいます。
労働時間の算定が1分単位という傾向はより強くなってくると中部労務管理センターは考えています。これを放置することは、ただただ爆弾が爆発することを待っている他なりません。守るべきところは守り、対策を打つべきところは打っていくことが重要です。
遵守と対策の着地点にお悩みのお客様は、ぜひご相談ください。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月21日掲載-8)