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■残業手当の金額(単価)を算出する際に基礎となる金額から省くことができる手当とは

【7つが明確に定められている】

残業手当の単価を算出する際に労働と直接的な関係が希薄で労働者の個人的な事情で支給されていることを考慮するなどの理由により「割増賃金(残業手当算出)の基礎となる賃金」から除外することができる(できるなので含むことも可能)ものが明確に7つ定められています。
 

    除外することができる手当
【1】 家族手当
【2】 通勤手当
【3】 別居手当
【4】 子女教育手当
【5】 住宅手当
【6】 臨時に支払われた賃金
【7】 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 
 

 この7つは限定列挙(ここに挙げられているもののみが除外することができる賃金として限定されている)とされており、この7つ以外のものは「割増賃金(残業手当算出)の基礎となる賃金」に含むこととされていますので押さえておきましょう。
例を示したものでないのでこの7つの他に除外できるものはないということなります。[ここまで読まれた方はぜひ最後まで読んでください]
 

【名称や支払いの手法が上記のものであれば良いという訳ではない

この件に関する打ち合わせをしていると、「名称を住宅手当にしよう」や「毎月支払うものを臨時にしよう」という案が出てくることがあります。重要なポイントですが、名称が上記のもの(例えば住宅手当)になっているから除外できるというものではありません。同じように支払方法を臨時にしたから除外ができるというものでもありません。
 
 その手当の名称ではなく、支給されるためのルールや性質によって除外できるかどうかが判断されます。
 
 例えば「家計手当(家族手当という名称とは違っていても)」という名称であってもその支給のルールが健康保険の被扶養者がいる従業員に対して1名につき、5,000円の家計手当が支給される場合において、その家計手当が割増賃金(残業手当算出)の基礎となる賃金から除外できる家族手当として定められているものと同様のルールで支給されている場合は除外することができます。
 これとは異なり、家計手当という名称であっても家族の人数に関係なく一律で支給している場合は、割増賃金(残業手当算出)の基礎となる賃金から除外できないものとなります。
 
 「家族の人数に応じて支給する」=「労働と直接的な関係が希薄で労働者の個人的な事情で支給されている」と判断されて除外ができるということですね。
 
 厚生労働省が公表しているリーフレットでは、「家族手当」「住宅手当」「通勤手当」について、除外できる例と除外できない例を紹介しています。
 ここは確実に押さえて支給ルールを決めないと除外できると判断していたつもりが除外できず、結果として法令違反を指摘され、是正勧告を受けるということになってしまいます。
 
(労務管理資料お問い合わせ番号:00007:厚生労働省)
割増賃金の基礎となる賃金とは?
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-5a.pdf 
※資料等のリンクはブログ投稿時点でリンクをしていたものです。リンク先が変更した場合など見ることができなくなることがございますのでご了承ください。 

 

【残業・深夜勤務・休日出勤の対価として支給されるものは割増賃金の基礎となる賃金から除外】

 上記にて限定列挙でこれ以外のものは除外できる賃金がないという記載をしましたが、残業や深夜勤務や休日出勤に対する労働の対価としてその支給額や支給ルールが明確で労働条件の明示がなされているなどの条件が整っていればこれらのものは「割増賃金(残業手当算出)の基礎となる賃金」から除外してかいません。[ここまで読まれた方はぜひ最後まで読んでくださいと書いたのはこちらを認識してほしかったためです]

お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月25日掲載-12)
 
【参考条文】
(労働基準法第37条第5項)
第1項および前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
(労働基準法施行規則第21条)
労働基準法第37条第5項 の規定によって、家族手当および通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第1項 および第4項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
(1) 別居手当
(2) 子女教育手当
(3) 住宅手当
(4) 臨時に支払われた賃金
(5) 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金