■退職した従業員から給与の支払いを求められたときどうするか
【給与の支払日に支払えば良いということではない】
給与は、支給日が決まっていて通常はその支給日ごとに支払いを行います。しかし、退職した従業員から「給与が早く欲しい」と言われた場合には、7日以内に給与を支払わなければならないと労働基準法第23条に定められています。
会社としては、給与計算の作業に時間がかかるとか、業務が忙しい時期で個別に給与計算をしていられないとか、引継ぎなどをせず一方的に退職をした従業員に対して怒りの感情があるなど様々な事情があることもありますが、こういった事情は加味がされないので対応をしなくてはなりません。
ただし、会社がその支払いに異議がある場合は、異議がない部分だけを支払えば良いとされていますが、単純に異議を唱えれば良いというものではありませんので注意しましょう。
【支給日が先に到来する場合は支給日に支給をしなくてはならない】
多くのケースでは、支給日まで待てないから退職した従業員が請求をしてきます。
7日以内に当該給与の支給日を迎えるというケースはそれほどないとは思いますが、退職した従業員から給与の支払いに関する請求をしてから7日以内に支給日を迎える場合は、7日以内だから支給日には払わないということはできませんので注意をしてください。
【いつまでも支払わなければ労働基準監督署の指導を受けることも】
労働基準法に定められていることですからもし会社が意固地になって支払いをしないということを従業員が労働基準監督署に申告をすれば、これに基づいて指導を受けることは考えられます。
いずれにしても支払わなくてはならないものであり、早期の支払いに対して意固地になってもメリットはありません。退職した従業員から給与の支払いに関する請求があった場合は、7日以内に支払いをして、当社は労働基準法を遵守しているという姿を見てもらう方がよいでしょう。
【違反した場合の罰則】
労働基準法第120条により、労働基準法第23条に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられます。
まずは労働基準監督署から指導がされると考えますが、意固地になって支払わなければ支払わないほどデメリットしかありませんのでこのケースは労働基準法に従って処理を進めることが良いでしょう。
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年2月27日掲載-14)
【参考条文】
(労働基準法第23条第1項)
使用者は、労働者の死亡または退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
(労働基準法第23条第2項)
前項の賃金または金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、または返還しなければならない。