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■~監督指導事例【2】~平成28年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果から学ぶ

厚生労働省が2016年11月に実施された重点監督に付随して指導事例を公開したことに関する第2段です。電気機械器具製造業が受けた指導です。
 

【残業時間に関する自己申告とタイムカードの時間に違いがあるとどうなるか】

残業時間の自己申告制は、禁止されているわけではありません。しかし、厚生労働省が公表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では

自己申告制を採用している事業所に非常に細かい管理を求めています
 ICカードやタイムカードにした方が楽なのではないか?と思うレベルです

 
 立場が変わった視点で見るとこの事例のような指導は多いから「防ぐためにはこのように管理をしていかないといけない」というものの積み重ねなのだろうと思います。
 
 今回は、自己申告をしている残業時間とタイムカードの打刻時間と最大で70時間の開きがあったというものです。これだけ開きがあると労働基準監督官からは「この時間帯は何をしていたの?」という直球の質問が飛んでくるでしょう。
 
 社内のコミュニケーションも非常に重要ですから、業務が終わった後に社内で会話をするということもあるでしょう。よってその開きのすべてが残業だと決めつけるのも横暴だと思いますが、ちゃんと直球の質問に返答できるだけの根拠を残しておかないと労働時間と言われかねないわけです。
 
 残業時間に関する自己申告とタイムカードの時間に違いがあった場合の指導事項は、

●労働時間を適正に把握するよう指導を受ける
 ●労働者から聴き取りをするなど実態調査をするよう求められる
 ●未払賃金があるのであれば差額を追加で支払うよう指導される
 ●再発防止策を検討して報告を求められる

文字にすると簡単に見えますが、対応にはかなりの労力が必要となります。このような指導を受けると生半可な聴き取りでは進まない場合もありますし、従業員にも労働時間に関する説明を行わなければならないことから別の労務問題が起こり炎上することもあるのです。
 

【36協定で定める上限時間を超えて残業をしてしまうとどうなるか】

今回の事例の事業所では75時間の時間外労働について協定が締結されていました。著しく特異とは言えない36協定だと思います。
 
 これに対して23名が1ヶ月80時間を超えていたという事実が判明し、指導が行われています。

●労働基準法第32条違反に関する是正勧告を受ける
 ●36協定の不適切な運用について原因分析を求められる
 ●適切な運用を図るために具体的な再発防止策の検討を求められる
 ●過重労働による健康障害防止のために残業時間の削減指導を受ける
 
 36協定の適切な運用ということは、やっていかなくてはいけないことですが、
けっこう奥が深いので単純ではないところが悩ましいところです。
 
 労働基準監督官によっては、事業所で検討すべき課題であるとしてまずは突き放されてしまうこともあります。
 

【適切な管理を一緒にやります!】

社内で管理できればこれに越したことはないのですが、最初から適切な管理ができるケースは少ないと思います。仲間同士なのでついつい馴れ合いが出てしまって甘くなってしまいます。
 
 外部の人間がいると重い腰が動きやすいメリットがあります。「あの坊主頭が見に来るからやっておくか」から始めてみてはいかがでしょうか?
 
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年3月18日掲載-34)
 

【本日のブログに関するリーフレットや参照ページなど】

(労務管理資料お問い合わせ番号:00015:厚生労働省)
平成28年度過重労働解消キャンペーンにおける重点監督実施状況(平成29年3月13日公表:厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000154533.pdf 
(労務管理資料お問い合わせ番号:00016:厚生労働省)
監督指導事例(平成29年3月13日公表:厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000154517.pdf
※資料等のリンクはブログ投稿時点でリンクをしていたものです。リンク先が変更した場合など見ることができなくなることがございますのでご了承ください。