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■正社員と契約社員で割増率が違うのは労働契約法違反~東京地裁判決より~

正社員と契約社員やパートなどのいわゆる非正規社員との労働条件・労働環境などにまつわる差が問題視されるケースが年々増えています。
 
 東京地裁で正社員と契約社員の待遇格差について争われた件に関する判決について報道がされました。
(出典:YAHOO!JAPANニュース:朝日新聞デジタル)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170323-00000064-asahi-soci
 

【統括する立場かどうか、職種変更・配置転換の有無も判断材料に】

賃金格差や退職金の有無について、結論としては「不合理な労働条件の違いではない」と判断しました。
 
 判断材料とした大きなポイントは、正社員は各店を統括する立場にあったが、契約社員はその立場になかったということと、正社員には職種変更や配置転換の有無があったが、契約社員にはなかったという点です。
 
 これを勘案した結果、契約社員はについて正社員とは業務内容や責任の程度に大きな違いがあると判断したのです。
 

【就業規則にて明確にしていくことを検討しよう】

このような事例を見ると大切だと思うことは、正社員と契約社員の双方がいる会社においては、
 
 正社員の就業規則と契約社員の就業規則を作成しておくことが大事
 
さらに、今後の労働契約法における無期転換権をふまえて改定を進めるのであれば、

期間の定めのある契約社員用の就業規則と無期転換権を行使した契約社員の就業規則を分けることも検討しておくと良いでしょう。

 
 そして、例えば正社員就業規則・契約社員就業規則(期間の定めがある者対象)・契約社員就業規則(無期転換権を行使した者対象)と3種類があるのであれば、正社員の就業規則には、「職種・配置の転換」や「負う責任を明確にする」ことを入れ込み、契約社員就業規則には、「職種・配置の転換がないこと」を明記し、「責任を正社員に押しつけるのではなく、契約社員が正社員に相談すべき事項などを明確にして、結果として責任の負担が軽くなるような仕組み」をつくると良いでしょう。
 

【時間外手当の割増率の差は労働契約法に違反する】

上記のように、「正社員とは業務内容や責任の程度に大きな違いがある」として労働契約法違反とはならないと判断した一方で、時間外手当の割増率が正社員と契約社員で差があることは労働契約法に違反すると判断しました。
 
 少なくとも時間外手当の割増率について、正社員と比べて契約社員が低く設定されていることは、安定した運用ではないということがわかります。これと同様に休日出勤の割増率や深夜勤務の割増率、60時間以上の残業における割増率なども同じ傾向があると思って良さそうですね。
 
 

【控訴審にも注目を】

弁護側は不当な判決として控訴をする意向のようですから、控訴審の判断も注目されます。
 賃金格差の判断もさることながら、割増率の判断についても注目をしていきたいポイントです。
 
お問い合わせ電話番号:052-414-5603(2017年3月24日掲載-40)